2011年11月17日木曜日

玉原湿原ニュース11月6日


ここ数日の週末は天候に恵まれていませんが、
思いがけず時間が取れたので悪天候の中、仲間を誘っての入山でした。

紅葉前線は、あっという間のスピードで下っていました。
玉原高原への途中にある強清水(こわしみず)も良い趣になっていました。

湿原ではトンボたちの姿もなく、周辺にあるナナカマドやズミ、
そして遊歩道沿いのアクシバの実は滴を溜、来る雪をじっと待っているような気がしました。

ブナ平ルートを左回りでの巡視でした。
遊歩道沿いでは晩秋の食用キノコのクリタケやキナメツムタケを確認。
そして本年画像を撮ることが出来ず、残念に思っていました。
ウスキブナノミタケの新鮮な個体にも会えました。
このキノコの傘は5mmにも満たない小さなキノコですが、
ブナの森でしか生えていないキノコなのです。
それは名前にもあるようにブナの実から出ているキノコなのです。
11月になっても出会えて幸運でした。

ブナ平下山時に事件に遭遇しました。
ここにはホウノキとブナでニホンミツバチが営巣をしています。
それを狙ってツキノワグマがアタックを繰り返していたのです。
そのためにその現場を押さえようと、自然史博物館によってカメラトラップが仕掛けられています。しかしアタックをしたのは熊ではなく、キイロスズメバチでした。

ホウノキの巣はかなりダメージが大きい模様で、出入りする蜂の姿は少なく、
入り口には蜂の死骸が重なり、まだ動いている個体もありました。
またブナに作られた巣は沢山のニホンミツバチが飛び交っていました。
この時季には花もなく蜜を集められないはず、
このことで蜂たちがあわて右往左往している状況だと推測しました。
ここでは2頭のキイロスズメバチが活動し、捕まえては食べていました。

過去にスズメバチの襲来を察知した巣では、
蜂たちが数十匹で入り口を固めスズメバチに向かって
威嚇行動を取っているのを確認していましたが、本日はほとんど確認できませんでした。
多分その役割を持つ蜂たちが殺され、巣穴入り口に積み重なっているのかも知れません。

玉原のブナの森での生態系の一部分です。我々はただ見守るだけでした。

環境センターで昼食後、サイクリングロード経由で帰路につきました。
そこでは冬鳥として玉原にやって来ましたアトリの群れに出会い、
画像を撮ることが出来ました。
ここではダム工事時の土捨て場に植えたケヤマハンノキの種子を狙って群れるのです。

名残の紅葉のコミネカエデがきれいです。そしてアキグミも熟しています。
口に含むと渋みが広がりますが、酸味も薄れ美味しい甘みを感じることができました。

ナナカマド
クリタケ
アキグミ

2011年11月8日火曜日

玉原湿原ニュース10月30日


10月1日以来のレポートです。けっしてパトロールをサボっていたわけでなく、
カメラの修理やレンズ交換等あり、その間小型のカメラで対応していたのですが、
画像が気に入らず報告を送りませんでした。
そのため、玉原のクライマックスの画像を送れなかったことをお許しください。

例年より少し早めに来た紅葉前線も過ぎ、いまや名残の紅葉と言うところでしょう。
本年はミズナラを除けば実が豊作で、遊歩道で確認できるテン達の糞は、
サルナシの実で満たされていました。
しかしブナの実も大豊作なのにツキノワグマの気配が無く、
ブナに作られるクマ棚もあまり確認できません。どうしたのでしょう?
熊の絶対数が激減したのでしょうか?

センターハウス横にあるミズナラにクマ棚が確認できます。
本年はドングリの実が小さく数も少ないはずです。
それとブナの実が絶対に美味いはずなのに、なぜミズナラに登ったのでしょうか?
幹にはしっかりと新しい爪痕が残されていました。

ドングリはデンプン質と水分それにタンニンが含まれます。
そしてブナはデンプン質と脂肪で出来ています。
ブナが絶対に美味いはずなのに、変わり者もいるのですね!

天候は曇り空から小雨模様、気温も上がらずフリースを着込んだまま脱げませんでした。
ツリバナの実達もまだ残されていますが、色合いに精彩がありません。
それでもコマユミのオレンジ色はまだまだきれいでした。
そしてヤブ陰ではツルリンドウの赤紫色の実が鮮やかでした。

調整池で定点画像を撮っていると、水面に大きな魚体が動いているのが確認できます。
それは40cmを越える大きなイワナで、産卵に来たのでしょうか?
カップルでゆったりと泳いでいました。

藤原越えの分岐から水上側へ。
しばらく下ると、そこではリョウメンシダが覆い茂り、
玉原からの水が湧き出て沢を構成始めています。
その一角でぬた場を確認しました。
獣が体に着いたダニなどの寄生虫を落とすために泥を浴びる場所で、
周辺にはニホンカモシカと思われる足跡が残されていました。

次回の入山は11月半ば過ぎになる予定です。ブナ林は冬木立になっているでしょう。
そして雪もちらついてくるかも知れませんね。

イワナ
カモシカ足跡
クマ棚
コマユミ
ツルリンドウ
ぬた湯

ミズナラ・爪痕
玉原湿原