2013年6月24日月曜日

6/24木道で羽を休める昆虫たち

 晴れると日差しが強く、森のコントラストが強くなってきています。  ベニバナイチヤクソウの形がきれいになってきました。「紅花一薬草」と書くのですが、薬草として多くの効能があるらしく「多薬草」のが正しいのでは? という意見もあるようです。  林床で小さなヤマクワガタが咲き出しました。里にあるオオイヌノフグリと同じ仲間ですが、日本固有種です。  梅雨時は森が潤うために、キノコも出現します。キツネノエフデと思われる面白い形のキノコを確認です。先端にグレバと呼ばれる粘った胞子を持っていて、悪臭を発しハエやアブに胞子を運んでもらうのですが、この個体は既に全ての胞子を運んでもらった様子です。  湿原は、早くもトキソウやアサヒランが咲き出し、夏の様相になってきました。木道の上では羽化をして間もない昆虫たちが、お日様に背を向けて暖を取っているようです。良い画像をもらおうと、近づくと逃げられ、近づくと逃げられを繰り返します。「頼むから~!」と心で念じながらの行動ですが、この昆虫たちは縄張り意識が強い子らで、じっとしていたらすぐ側に止まってくれました。  ヒオドシチョウ : 非常にきれいな個体です。コレクターは羽化間もない個体を「新品」と呼びますが、まさにそれです。ここではヤナギを食べているのだろうか? ヒオドシは武具の緋縅から名が付きました。  クジャクチョウ : これも新品。クジャク模様が非常にきれいですが、後翅(こうし)の模様が私には目に見えるため、こちらに、にらみを利かせているように思えてなりません。  コフキトンボのオス : シオカラトンボに非常によく似ています。私も気がつく前はシオカラトンボとして紹介していました。腹部が白い粉を吹いたように見えるところからの命名のようです。  コフキトンボのメス : このメスには二形態あり、羽に褐色の帯班を持つことからオビトンボの別名を持つのですが、ここの個体は帯班を持たないようです。  湿原では、またやっかいな事が持ち上がっていました。昨年からホンシュウジカによってミズバショウの葉が食べられているのですが、本日も食痕を確認しました。尾瀬の玄関の大清水では、鹿の食害によって花が咲かなかったとの報道がされましたが、ここはどうなっていくのでしょう?

2013年6月9日日曜日

梅雨に入ったはず…

 梅雨に入ったはず、それなのに雨は何処に行ったのだろう?沢の水流も少なく両生類が産卵した場所では悲鳴が聞こえて来そうです。
 それに比べてエゾハルゼミは早朝から元気です。元気というより「うるさい!」このセミは鳴き疲れると言うことはないのだろうか?
 湿原ではウラゲコバイケイソウが大量に咲き出しています。2005年以来5年ぶりです。05年の〔報告〕を確認すると、「1997年以来10年ぶりの大量開花!」とあり、また「ワタスゲの綿毛が少ない!」ともありました。同じように本年はワタスゲの綿毛が少ないのです。何か関係があるのでしょうか?
 足元の木道沿いでは小さなサクラソウの仲間のコツマトリソウが確認でき、湿原の縁ではズミの花も見ることが出来ました。
 沢すじに下りると、サワオグルマの黄色い花が眼を引きます。そしてその木陰ではサクラソウ科では一番大型のクリンソウが隠れるように咲いていました。しかし、隠れても派手なこの花は園芸採取の対象となり激減してしまいました。そのため群馬県評価:絶滅危惧類からⅠB類になってしまいました。大切にしたい植物です。
 梅雨時の定番植物のギンリョウソウが頭を持ち上げ始めました。しかし雨が少ない。見事なギンリョウソウを見るためには梅雨が梅雨らしくないといけません。
 林床でタニギキョウを確認、この花はキキョウ科で一番小さなキキョウでした。そして今度は小さな百合で「稚児」の名を持つチゴユリです。私のカメラワークが悪かったのでしょうか?可愛いと言うより、何か別の存在感を持っていました。
 本日は月例の観察会でした。ブナ平から湿原へと好天に恵まれ、またガイド役の楽迎員の流暢な説明に皆さん満足でした。
 帰路、薄暗いヒノキ林を抜けると、そこで日本海要素で日本固有種のカラスシキミに逢えました。別の所では花期を逸していましたので、あきらめていたのですが、ここではスポットライトを浴びて待っていてくれたようです。











2013年6月2日日曜日

利根沼田自然を愛する会

 利根沼田自然を愛する会は、玉原全ての登山コースのコースガイドの作成を計画していて、本日は鹿俣山コースの基礎調査です。

 しかしながら、玉原の自然は、我々の都合に合わせてはくれません。そのためこの時季にしか咲かない花達を求めて、また早起きでした。何故かというと、玉原には二つのピークがあり、尼ケ禿山(緑色凝灰岩)と鹿俣山(安山岩)がありその中央に湿原があります。時代が古い尼ケ禿山と、比較的新しい鹿俣山で当然植物たちも違ってくるのです。そのため尼ケ禿方向でなければ確認できない花を求めての早起きでした。

 ツバメオモトがやっと咲き出しました。実の色から「燕万年青」、また新芽の出方が刀の鍔に似ているところから「鍔目万年青」と言う節もありますが、百合の仲間の小さな可愛い花です。イチヨウランも咲いていました。アップ画像はかなり派手は形ですが、この花は自然にとけ込んでしまいますので、いつも探すのに苦労をさせられます。
 
 イチヨウランは群馬県評価:絶滅危惧ⅠB類になってしまいました。原因は、森林伐採や園芸採取によっての激減です。このまま減少が続けばパトロール報告への登場は無くなってしまうかもしれません。

 本日の基礎調査は、一二沢檜林からの入山ですが、一二沢で、田植えの頃に出現するトンボの、ヒメクロサナエを見つけました。まだ羽化して間もないのでしょう、まだ飛べないために、私のカメラにじっと我慢でした。

 ルート内にあるポイント間の距離や高低を測りながらの登山となりますが、明るいブナの森は疲れを感じさせません。足元ではサワハコベが咲いています。ナデシコの仲間で、花びらに切れ込みが入り、可愛い花でした。

 湿原ではワタスゲの実が白いポンポンを作り始め、またウラゲコバイケイソウが本年は沢山の花を咲かせそうです。来週は月令観察会です。初夏を迎え、楽しい観察会になりそうです。