2012年7月25日水曜日

梅雨は明けたはずなのに・・・

梅雨は明けたはずなのに・・・雨、そして肌寒い玉原です。森が霧に包まれています。霧に包まれていると言うより、雲にすっぽり入っているのでしょう。

遊歩道沿いでキツリフネが滴を溜めていますが、本年はまだ赤いツリフネソウは咲き出してはいません。そして、林内では日本海要素で日本固有種のカラスシキミの実が雨に濡れ、輝きを増し宝石のようでした。

湿原に向かうと、そこでは群馬県評価:絶滅危惧Ⅱ類のカキランが咲き出しました。花の色が柿の実の色に似ているから「柿蘭」と付けられたらしいのですが、いますこし可愛い名前が付けられなかったのかなと思います。

次の目的のランは小さくてほとんどの入山者は気づかずに通りすぎてしまう花です。背丈が3~4センチで花の大きさは5ミリ程のアリドウシランです。画像にアスナロの葉が映っていますので、大きさが想像できると思います。

アカネ科のツルアリドウシが咲いています。2個ずつ1センチ程の白い花を付ける可愛い個体ですが、前者共名に「アリドウシ」が使われています。

アリドウシはアリをも射す様な鋭いとげを持っていますが、両者ともにとげは無く、ツル性であったり、ランは葉や茎が似ているところから名が付けられた様子です。

環境センター裏の銅金沢でニッコウホトトギスが咲き出しました。今まではタマガワホトトギスとしていたのですが、葉の裏に毛があったり、また子房にも毛があるのでニッコウホトトギスとして分離されたようです。ユリの仲間ですが、独特な花の形で好きな植物です。

ホタカサンルートに移動したのですが、そこでは立ち枯れた太い木の根元が大きくえぐられています。どうやらツキノワグマが甲虫の幼虫等の餌を求めて活動した痕のようです。

今日はペンション泊です。ペンションに近づいたところで、つぼみが色づいてきたヨツバヒヨドリで、スジグロシロチョウがアンテナに沢山の滴を着け雨宿りをしていました

 霧に霞むブナ林
 キツリフネソウ
カラスシキミ
カキラン
 アリドウシラン
ツルアリドウシ
ニッコウホトトギス
ツキノワ熊のフィールドサイン
スジグロシロチョウ

2012年7月20日金曜日

ペンションから湿原ルート

 ブナの緑が濃く夏色です。自然環境センターではウサギコウモリが待っていてくれました。ストロボ撮影になるのですが、迷惑そうに眼を開けています。ウサギコウモリの特徴である長い耳はたたみ込まれていますが、これは落ち着いているときの様子で、警戒をしているときは長い耳を立て様子をうかがうのです。
 
 湿原は黄色く染まっていました。ユリ科のキンコウカが盛りです。その中にランの仲間のミズチドリがポツポツと混ざり、足下では小さなモウセンゴケの花が咲き出しました。そして一輪だけでしたがコオニユリの花も確認できました。

 湿原の縁で7~8ミリのミヤマイボタの花が咲いていますが、本年は特にきれいに感じました。ランの仲間のクモキリソウを確認です。この花の形は蜘蛛を頭胸分と腹部を切り離した形に似ているからとか、蜘蛛の子を散らす(蜘蛛散り草)から名が付いたとかありますが、どちらでしょう?
 
 マルバフユイチゴが咲いています。8月後半には酸味の強い赤い実が熟れるでしょう。キャンプ場ルートに入る前にブナ平入り口のニホンミツバチを訪ねました。ブナのニホンミツバチは活発に活動していて完全復活です。

沢山のサルナシ花を確認でした。キウイフルーツの仲間なので雌雄異株なのですが、遠くて確認できません。実を着ける雌花であることを祈りたいです。なぜならば、本年は秋の実りが期待出来ないためにツキノワグマの餌がないのです。
ウサギコウモリ
 湿原のキンコウカ
 ミズチドリ
 モウセンゴケ
 コオニユリ
 ミヤマイボタ
 クモキリソウ
 マルバフユイチゴ
 ニホンミツバチ
 サルナシ

2012年7月18日水曜日

登山道脇の水場

本日は、ラベンダーパーク内から鹿俣山・ブナ平方面へ向かう登山道路の草刈作業を行いました。ラベンダーパークから作業を開始して約500m程度進んだブナ林の中に、小さな小川が流れていました、汗をかいたんので顔を洗おうと手をつけると、とても冷たくて気持ち良かったです。

顔を上げると目の前から、とても綺麗な水が懇々と湧き出しておりましたので、思わず渇いた咽も潤してしまいました。冷たくおいしい水に癒されました。
 水の湧き出ている周りの笹を少し刈り払っておきましたので、登山で通られる方は立ち寄って休憩して行って下さい。
 周辺には、ブナ・トチ・サワグルミなどの高木が生えており、日陰が十分にありとても気持ちの良いところです。

*水質の検査等は行っておりませんので、水アレルギー等のある人はご注意ください。
私はおいしく頂き、持っていたペットボトルにまでつめて、今夜の晩酌の水割りに使おうと思っております。

玉原には、湿原へ向かう道路の脇などにも、ぶなの湧き水等があります。どうぞ、ご利用ください。
 登山道途中の小川
 水源
湧き口
玉原湿原付近のぶなのわきみず

2012年7月11日水曜日

黄色の絨毯

現在の玉原湿原の様子です。 キンコウカが一面咲き始めており、今週末頃は湿原が一面黄色一色になると思います。その中で、トキソウ・アサヒランのピンクが目を引きます。ラベンダーパークのラベンダーも色付き始めましたが、この景色は一見の価値があると思います。
途中歩道下を流れる小川で、3cm程度の岩魚も発見今回はカメラに収まったので。

昨年同時期の 玉原湿原
7月10日現在の湿原もうすぐ満開です
 イワナ
アカミノイヌツゲに作られた鳥の巣
 ミズチドリ
 アサヒラン
 トキソウ
トリガタハンショウヅルの種子

2012年7月10日火曜日

梅雨空それでも夏の香りが・・・

 尼ケ禿山を目指します。この山は緑色凝灰岩が隆起して出来ています。武尊山よりも歴史の古い山なので、植物たちも面白い物が多いと言われています。

 林縁でヤマオダマキが迎えてくれました。この花は梅雨の定番で、雨にしっとりと濡れた様子が風情があって好きです。

 ブナの根元に非常に派手な模様の蛾が雨を避けています。シャクトリムシの仲間のビロウドナミシャクですが、この派手な模様も止まる場所によっては、自然に溶け込んでしまう擬態効果もあるようです。また、幼虫期にはエゾアジサイを餌としています。

 園芸採取によって危機となり、群馬県評価:絶滅危惧ⅠB類に指定されましたジガバチソウが花を咲かせました。背丈が10cm程の小さなランですが、非常に目立たない花です。花がジガバチに似ると言いますが、それほどではありません。しかしこんな小さな花でも昆虫たちを引きつける蜜が準備できている様子で、小さなアリが舐めに訪れていました。

 山頂で昼食です。運良くこの時には陽が射し、美味しくお弁当を戴きました。そしてそこではミヤマクワガタに出会いました。幼い頃憧れたクワガタです。男性達は皆カメラに納めていました。

 湿原ではトキソウが盛りです。その中にショッキングピンクのアサヒランが咲いています。そして百合の仲間のキンコウカも咲き出しました。後しばらくすると湿原が黄色く変化をしてゆくでしょう。

 ヤチダモに止まるモズを確認です。側に近づいても余り離れようとせず、しばらく観察をしているとブッシュの中に飛び込んでいきました。どうやらその中で子育てをしている様子でした。




ヤマオダマキ
 ビロウドナミシャク
 ジガバチソウの蜜を求めるアリ
 ジガバチソウ
ミヤマクワガタ
 アサヒラン
 キンコウカ
 トキソウ
ヤチダモに止まるモズ

2012年7月2日月曜日

生と死・繰り返される生態系

天候は曇り空、気温が少し低いのでしょうか?エゾハルゼミが鳴きません。そのおかげで、ウグイス・キビタキ・コルリ・アカハラ達のきれいな鳴き声が響きます。本日は湿原~水源ルート~ブナ平をゆっくりと回ります。

 この時季田植えが終わり、若い苗が風に揺れる頃出現するトンボに、サナエトンボ(早苗蜻蛉)があります。その仲間のヒメクロサナエが、羽化間もないのでしょうか?葉の上で羽を休めています。このトンボはきれいな水の指標昆虫にもなっています。

 湿原はヒオウギアヤメが盛りです。ワタスゲの白とオゼタイゲキの黄色とできれいなアクセントになっています。そしてわずかですがトキソウ(群馬県評価:絶滅危惧類)も咲き出し、高層湿原の指標となっていますツルコケモモもきれいでした。1cm程の小さな花ですが、ツツジの仲間で樹木なのです。

 マルバモウセンゴケもしっかりと葉を広げ粘液を光らせています。よく見ると小さな昆虫たちを捕まえている葉が確認できます。いまは水生昆虫の羽化の時季です。ガガンボが羽化をしようと、登った植物が運悪くモウセンゴケだったのでしょう、飛び立つ前に脱け殻と共に吸収されてしまった様子です。

 水源ルートからブナ平へ登る途中でショウキランに会えました。きれいなピンクの蘭ですが、葉緑素を持たず、共生している菌類から養分を貰って生活をしています。この植物は神出鬼没で、こちらの思い通りに会えない植物です。ですから見つけたときは玉原からご褒美を貰った気分になるのです。(ラッキー!!)

 ブナ平の林床ではタニギキョウ(キキョウ科)とサワハコベ(ナデシコ科)の1cm程の小さな花が沢山確認でき、ギンリョウソウの群落にも会えました。ギンリョウソウはイチヤクソウ科ですが前述のショウキラン同様共生している菌類から養分の提供を受けて生活しているのです。

 ブナ平センターハウス側入り口に、群馬県評価:絶滅危惧類のニホンミツバチの巣があったのですが、昨年の秋にキイロスズメバチの襲撃に遭い全滅をしてしまいました。しかし本日そこを確認するとニホンミツバチが出入りをしています。どうやら新たに分蜂した女王蜂が潜り込んだ様子で、働き蜂がハウスクリーニングに忙しそうでした。

 ヒメクロサナエ
 ヒオウギアヤメ
 ツルコケモモ
 ガガンボを捕らえるマルバモウセンゴケ
 ショウキラン
 タニギキョウ
 サワハコベ
 ギンリョウソウ
 トキソウ
 ニホンミツバチ
ウグイス