2013年7月14日日曜日

7/14 冬虫夏草

 玉原はさわやかな朝を迎えました。その明るいこずえをゼフィルス(西風)と呼ばれるミドリシジミが、コバルトブルーの羽を光らせながら飛び交っています。しばらくして静止した個体を見ると、それはジョウザンミドリシジミでした。
 ヤマアジサイが日本海型に変化をしたエゾアジサイの色合いも良くなってきていて、沢筋ではニッコウホトトギスが朝日に輝いていました。タマガワホトトギスと比べて、葉の裏などに毛があるので判断できますが、日に輝く画像で、ちょっと毛深いのが理解できると思います。
 本日は月例観察会(毎月第2日曜、10時集合、参加無料、申し込み不要)で、7月の観察ポイントの多いところへ出発です。  森に入るとすぐにオレンジ色で根棒状のキノコを発見です。このキノコは今回の観察会の一番の目的であったので、参加者に、何から発生しているか掘り起こしていただきました。すると、ふわふわした黒い物体が登場。その繊維質を取り除くとサナギが出てきたのです。このキノコはチョウやガのサナギに取り付くサナギタケ(冬虫夏草)だったのです。  昨年、武尊山系ではブナを食草とするブナアオシャチホコが大発生したと報告しましたが(2012年8月12日 玉原パトロール報告168)そのサナギたちと思われます。生態系の中で異常発生した生物に、バランスを保つために活躍する生物もあるんだと実感です。サナギタケは森林害虫の天敵として利用を考えたり、また成分に抗ガン効果が期待されるところから無菌栽培を試みているほど、貴重なキノコだったのです。
 遊歩道では参加者が歓声を上げます。そこには日本海要素で日本固有種のカラスシキミが実を着け、宝石のように輝いています(花については玉原パトロール報告193参照)。  また、足元では1センチメートルほどの小さなツルアリドオシの開花も確認、皆さんデジカメで撮影し、アップで花の確認です。するとまた歓声。一つの子包から細かな毛を持った花が二つ咲いています。そしてその実は目のような痕跡を残します。最近はコンデジの性能が良くなったために、ルーペを使うより拡大が簡単になりました。  またまた面白いキノコの確認です。キノコは軸があって傘を着ける形を思い浮かべますが、このキノコは海の中の白いサンゴのようです。その名もサンゴハリタケで、きれいな形でした。必ず聞かれる質問は「食べられるの?」ですが、答えは「食べられます」。  湿原ではカキランが咲き出しました。盗掘の対象となっているため減少が心配されますが、マナーを信じるしかありません。  皆さん! 玉原の自然保護にご協力をお願いいたします!

2013年7月6日土曜日

7/6 沼田の池田フルーツランド地区に、サクランボ狩りに行って来ました

 7月6日(土)、沼田の池田フルーツランド地区に、サクランボ狩りに行って来ました。  今は、品種としては「佐藤錦」と「紅さやか」が食べ頃ですが、収穫は来週あたりが最後のようです。  今年は、とてもサクランボの出来が良く、甘くて美味しかったです。  池田フル-ツランド地区は、りんご、サクランボ、プルーン…いろいろな果物が収穫される所で、これからはブルーベリー狩りの時季になります。  大自然の中での収穫をぜひ、楽しんでみてください。

2013年6月24日月曜日

6/24木道で羽を休める昆虫たち

 晴れると日差しが強く、森のコントラストが強くなってきています。  ベニバナイチヤクソウの形がきれいになってきました。「紅花一薬草」と書くのですが、薬草として多くの効能があるらしく「多薬草」のが正しいのでは? という意見もあるようです。  林床で小さなヤマクワガタが咲き出しました。里にあるオオイヌノフグリと同じ仲間ですが、日本固有種です。  梅雨時は森が潤うために、キノコも出現します。キツネノエフデと思われる面白い形のキノコを確認です。先端にグレバと呼ばれる粘った胞子を持っていて、悪臭を発しハエやアブに胞子を運んでもらうのですが、この個体は既に全ての胞子を運んでもらった様子です。  湿原は、早くもトキソウやアサヒランが咲き出し、夏の様相になってきました。木道の上では羽化をして間もない昆虫たちが、お日様に背を向けて暖を取っているようです。良い画像をもらおうと、近づくと逃げられ、近づくと逃げられを繰り返します。「頼むから~!」と心で念じながらの行動ですが、この昆虫たちは縄張り意識が強い子らで、じっとしていたらすぐ側に止まってくれました。  ヒオドシチョウ : 非常にきれいな個体です。コレクターは羽化間もない個体を「新品」と呼びますが、まさにそれです。ここではヤナギを食べているのだろうか? ヒオドシは武具の緋縅から名が付きました。  クジャクチョウ : これも新品。クジャク模様が非常にきれいですが、後翅(こうし)の模様が私には目に見えるため、こちらに、にらみを利かせているように思えてなりません。  コフキトンボのオス : シオカラトンボに非常によく似ています。私も気がつく前はシオカラトンボとして紹介していました。腹部が白い粉を吹いたように見えるところからの命名のようです。  コフキトンボのメス : このメスには二形態あり、羽に褐色の帯班を持つことからオビトンボの別名を持つのですが、ここの個体は帯班を持たないようです。  湿原では、またやっかいな事が持ち上がっていました。昨年からホンシュウジカによってミズバショウの葉が食べられているのですが、本日も食痕を確認しました。尾瀬の玄関の大清水では、鹿の食害によって花が咲かなかったとの報道がされましたが、ここはどうなっていくのでしょう?

2013年6月9日日曜日

梅雨に入ったはず…

 梅雨に入ったはず、それなのに雨は何処に行ったのだろう?沢の水流も少なく両生類が産卵した場所では悲鳴が聞こえて来そうです。
 それに比べてエゾハルゼミは早朝から元気です。元気というより「うるさい!」このセミは鳴き疲れると言うことはないのだろうか?
 湿原ではウラゲコバイケイソウが大量に咲き出しています。2005年以来5年ぶりです。05年の〔報告〕を確認すると、「1997年以来10年ぶりの大量開花!」とあり、また「ワタスゲの綿毛が少ない!」ともありました。同じように本年はワタスゲの綿毛が少ないのです。何か関係があるのでしょうか?
 足元の木道沿いでは小さなサクラソウの仲間のコツマトリソウが確認でき、湿原の縁ではズミの花も見ることが出来ました。
 沢すじに下りると、サワオグルマの黄色い花が眼を引きます。そしてその木陰ではサクラソウ科では一番大型のクリンソウが隠れるように咲いていました。しかし、隠れても派手なこの花は園芸採取の対象となり激減してしまいました。そのため群馬県評価:絶滅危惧類からⅠB類になってしまいました。大切にしたい植物です。
 梅雨時の定番植物のギンリョウソウが頭を持ち上げ始めました。しかし雨が少ない。見事なギンリョウソウを見るためには梅雨が梅雨らしくないといけません。
 林床でタニギキョウを確認、この花はキキョウ科で一番小さなキキョウでした。そして今度は小さな百合で「稚児」の名を持つチゴユリです。私のカメラワークが悪かったのでしょうか?可愛いと言うより、何か別の存在感を持っていました。
 本日は月例の観察会でした。ブナ平から湿原へと好天に恵まれ、またガイド役の楽迎員の流暢な説明に皆さん満足でした。
 帰路、薄暗いヒノキ林を抜けると、そこで日本海要素で日本固有種のカラスシキミに逢えました。別の所では花期を逸していましたので、あきらめていたのですが、ここではスポットライトを浴びて待っていてくれたようです。











2013年6月2日日曜日

利根沼田自然を愛する会

 利根沼田自然を愛する会は、玉原全ての登山コースのコースガイドの作成を計画していて、本日は鹿俣山コースの基礎調査です。

 しかしながら、玉原の自然は、我々の都合に合わせてはくれません。そのためこの時季にしか咲かない花達を求めて、また早起きでした。何故かというと、玉原には二つのピークがあり、尼ケ禿山(緑色凝灰岩)と鹿俣山(安山岩)がありその中央に湿原があります。時代が古い尼ケ禿山と、比較的新しい鹿俣山で当然植物たちも違ってくるのです。そのため尼ケ禿方向でなければ確認できない花を求めての早起きでした。

 ツバメオモトがやっと咲き出しました。実の色から「燕万年青」、また新芽の出方が刀の鍔に似ているところから「鍔目万年青」と言う節もありますが、百合の仲間の小さな可愛い花です。イチヨウランも咲いていました。アップ画像はかなり派手は形ですが、この花は自然にとけ込んでしまいますので、いつも探すのに苦労をさせられます。
 
 イチヨウランは群馬県評価:絶滅危惧ⅠB類になってしまいました。原因は、森林伐採や園芸採取によっての激減です。このまま減少が続けばパトロール報告への登場は無くなってしまうかもしれません。

 本日の基礎調査は、一二沢檜林からの入山ですが、一二沢で、田植えの頃に出現するトンボの、ヒメクロサナエを見つけました。まだ羽化して間もないのでしょう、まだ飛べないために、私のカメラにじっと我慢でした。

 ルート内にあるポイント間の距離や高低を測りながらの登山となりますが、明るいブナの森は疲れを感じさせません。足元ではサワハコベが咲いています。ナデシコの仲間で、花びらに切れ込みが入り、可愛い花でした。

 湿原ではワタスゲの実が白いポンポンを作り始め、またウラゲコバイケイソウが本年は沢山の花を咲かせそうです。来週は月令観察会です。初夏を迎え、楽しい観察会になりそうです。