2012年8月21日火曜日

秋の気配が・・・

 午前中はブナ平方向を巡視です。先週までのブナアオシャチホコの活動は落ち着いた様子で、遊歩道で一個体も幼虫が落ちているのを確認しませんでした。蛹化した様子ですが、見上げると幼虫の食痕で葉の重なりが余り感じらず、森が明るく感じられました。

  根元を見ると、細長いナメクジのような物体がゆっくりと動いています。しかも頭が扇型をしています。日本髪の髪飾りに似ているところからコウガイ(笄)ビルと言われている動物です。動物の血を吸う「ヒル」とは分類上違う生物らしいのですが、ここの個体は頭部と体の色合いが違っているために、過去に自然史博物館へ問い合わせをした経緯もあるのです。しかし答えは「コウガイビルです!!」でした。

 毒キノコの代表格のテングタケの仲間のタマゴタケが発生しています。白い卵の殻から発生し、オレンジ色の傘にささくれ立った軸、これぞ毒キノコといった姿ですが、ヨーロッパでは「シーザー」の名前を持つ優秀な食用菌なのです。しかし本年はセシウムの含有が心配されます。気をつけましょう!

 立ち枯れた大木の根元でトンビマイタケを確認です。このキノコも幼菌の時ならやわらかく食用に適しているのですが、このようにきれいな姿を確認するのは初めてでした。ダム開発から40年以上立っています。玉原の情報やデータを残そうと活動していますが、前述のコウガイビル等、画像に残されていない者達がまだまだたくさんあります。

 湿原ではヤマトリカブトや白馬で命名された同じ仲間のハクバブシが咲き、タムラソウも咲き出しました。そして数は少ないのですがエゾリンドウも咲きだし、色合いが何となく「秋」を感じさせます。

 環境センターで昼食を取っていると、ウサギコウモリが迷惑そうに警戒を始めました。そのため環境センターをウサギコウモリに明け渡し、ゲレンデ方向で渡りをする蝶のアサギマダラの確認に出かけることにしました。

 ゲレンデはアサギマダラの好物のヨツバヒヨドリが満開です。そこで十数頭のアサギマダラを確認することが出来ました。アサギマダラは5月の末から6月にかけて南方(沖縄方向)より飛来し、ここにあるガガイモ科のイケマに産卵をするのですが、その子ども達が現在フワ~フワ~っと緩やかに飛び、ヨツバヒヨドリで吸蜜しているのです。そして今月末から南方へ移動を開始し玉原から姿を消すのです。


ウサギコウモリ

 コウガイヒル
 タマゴタケ
 トンビマイタケ
 ヤマトリカブト
 タムラソウ
 エゾリンドウ
アサギマダラ

2012年8月15日水曜日

8月月例観察会より

 上り坂の法面でエビガライチゴが、たわわに熟しています。一粒摘んで口に含むと、甘さの中にさわやかな酸味が広がります。「美味い!!」自然のパワーを戴いた気分でした。 本日は月例観察会です。どのような出会いがあるのでしょうか?
 

 キツリフネが昨晩の雨の名残でしっとりと濡れ、水滴が朝日に輝いています。そしてツリフネソウも既に咲き始めていました。玉原湿原には、尾瀬で発見され命名された群馬県:準絶滅危惧種のオゼヌマアザミがあるのです。尾瀬地域にはもちろんですが、なぜか武尊山系のここにだけあるのです。この花の存在を確認したくて早朝に人目を避けて、公開されていない湿原に踏み込みました。
 

 湿原の縁ではツツジの仲間のホツツジが盛りです。そしてオゼミズギクも咲きだし、その上で若いカンタンでしょうか花粉を食べています。オゼヌマアザミは咲いていました。他のアザミ達と比べて長い総包片を持っているのが特徴です。オゼヌマアザミの画像を撮っている側をトンボが飛び立ちました。ヒメアカネ()です。アカネ属の中でいちばん小さなトンボですが既に羽化をしているようでした。
 

 武尊山系では、本年ブナを食草とするブナアオシャチホコの異常発生が伝えられてきています「糞が雨のように落ちてくる!」とか、立ち寄ったペンションでは「幼虫がブナを食べる音が聞こえるくらいで、異常です!」とも・・・その事例の確認を含めての巡視です。
 

 コイチヨウランの開花を確認です。暗紫色の小さな葉から花茎を持ち上げて3~5mmの小さな花を付けます。コイチヨウランの群落場所は解っているのに、目立たない花のために確認に苦戦です。そのため当然入山なさる方々には気がついて貰えないのでしょう。ツツジの仲間のアクシバも咲いています。これもまた1cm程の小さな花ですが、色合いと言い、花弁をカールした形など自然の造形美と言うのでしょうか、大好きな花なのですが、これもまた気がつく入山者が少ないのです。
 

 その後、ダム直下へ移動です。そこではミヤマカラスアゲハがしみ出てきた湧き水を吸い、ミネラル分を吸収後、尻から排泄する「吸い戻し」行動に集中しています。こんな時は邪魔をしないようにそっと近づけば画像撮影も許してくれるのです。 

 エビガライチゴ
 キツリフネソウ
 ツリフネソウ
 オゼヌマアザミ
 ホツツジ
 オゼミズギクとカンタン
 ヒメアカネ(♀)
 ブナアオシャチホコ
 コイチョウラン
 アクシバ
ミヤマカラスアゲハ

2012年8月5日日曜日

えっ・・こんなところに山百合が

たんばらラベンダーパークへ向かう道路の、ヘアピンを回ったところの落石防止用のコンクリート壁の隙間からたくさんの山百合が咲いていました。あまりのたくましさに思わず、1枚いただきました。白の山百合を見て、やはり太平洋側の植物に関心、日本海側はピンクのササユリが咲きます。玉原は、両方の植生が楽しめる・・ですが自然のユリが今頃開花ではやはり今年は、遅れていますね。
 湿原も夏真っ盛りで、コオニユリ・タチギボウシ・ミズギク・モウセンゴケなどがとても綺麗です。秋の花たちも顔を見せ始め、ホツツジも蕾が膨らんできております。

 道路の落石防止ネットか顔を出すヤマユリ
コンクリートノ隙間から生えるヤマユリ
 コオニユリ
 ミズギク
 タチギボウシ
モウセンゴケ
 ホツツジ
トリアシショウマ

2012年8月3日金曜日

玉原スキー場周辺

玉原もようやく夏らしい天気になってきました。本日はゲレンデの周辺を散策してきましたのでその状況をお知らせします。ゲレンデ内ではノアザミが咲き始めており蝶たちが食事中です。
 スキー場脇の林縁部にはエゾアジサイの青色とノリウツギの白が綺麗です。ツリフネソウもピンクと黄色の種類が同時に開花しております。今年はツル性植物でシオデの花がやけに多く目立っております。リフトに乗っていると約1.5m程に花茎が立ち上がりたくさんの花をつけたオオウバユリが開花を始めております。花をつけるまでに10年近くかかるそうで、一度花をつけるとまた10年近く花をつけないので毎年同じところには、見られないようです。
 登山道に少し足を向けてみると、足元にツルリンドウの花を確認することが出来ました。秋になると赤い実はよく目にするのですが、花を見るのは久しぶりでした。

ノアザミ
 エゾアジサイ
ノリウツギ
 ツリフネソウ
キツリフネソウ
イケマ
オオウバユリ
ツルリンドウ
オオカメノキ